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2023年11月12日 礼拝

説教概要

泣かないでください

小泉 智牧師

ルカ7章11~17節

主イエスと一行がナインを訪れた時、葬列と出会います。町の城壁の中は生きている者の領域で、城壁の外は死の領域でした。死が遠ざけられるのです。現代でも死を見なくて済むように周辺へと追いやられます。人は死を見つめるのに耐えられません。

 

この葬儀が通常と異なるのは子の葬儀だった点です。親が子の葬儀を出すのです。若者でした。母はやもめです。結婚相手に先立たれ生活を困窮しています。それなのに我が子に養われる未来を断たれ、経済的基盤を喪失するのです。

 

主が葬列の行進を止められたのは深い憐れみからです。良きサマリヤ人や放蕩息子に使われた言葉です。主は人生の涙を誰よりもご存じの上でもう泣かなくていいと仰います。遺体に接する汚れを信じる社会で、主は棺に手を伸ばして亡骸に触れられます。固い決意で主イエスがこの死を引き受けられるのです。

 

人がいのちを落としてでも、なお手を伸ばされる主なのです。いいえ、死者に語り掛けさえなさるのです。起きよ。主が訪れると死が決して終わりではなく必ずその先があるのです。事実、み言葉が臨むと死んだ者は生きます。悲しむ者に愛する者を戻すことのできる方がここにおられます。

 

大預言者が現れたと驚くのも故あることです。ナインは預言者エリヤが死者を生き返らせたシュネムの町に近いのです。預言者エリヤ・エリシャを想起しても無理はない。神の言葉である預言が廃れた時代に、主イエスは神の言葉を語り始めます。悲しむ者を慰め、死に向かう者の歩みは止まるのです。やがて主が愛する者を私たちにお返し下さる復活の日が訪れます。その日を待ち望み、いのちの主を仰ぐのです。

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