2024年12月1日 礼拝
説教概要
沈黙の中で働く神
小泉美早子師
ルカによる福音書1章5節ー25節
アドベントに入りました。毎年のことだとなんの感慨も抱けないこともあるでしょうか。いつものことを当たり前に粛々とこなす。しかし人生のほとんどはそういうものです。ザカリヤもそうでした。主の戒めと定めを落ち度なく正しく守る宗教家。当たり前の歩みの中に子がいない深い悲しみをたたえている。
これは私たちの姿です。特に劇的で波乱万丈な人生を生きてき たわけではない。優れた才能を有しているわけでもなく一生を終える市井の人。信仰があるのに、なぜこんな悩みをかかえるのか。クリスマスの物語は欠けから始まります。神にとって欠けそのものは致命的な問題ではないのです。
ある日、ザカリヤに大切な宗教家としての奉仕が回ってきます。当番制で一生に一度回ってくるかどうかの確率でした。しかしその奉仕が天使ガブリエルの出現で突然中断させられてしまいます。しかも高齢な自分たちに子が与えられるというお告げによって。
私たちの人生にも予期せぬことが起きます。思いもよらない出来事により計画が中断してしまう。予定調和に生きることが信仰生活なのではないと飛躍を促す場合があるのです。しかし実はそれこそ神があなたを覚えて下さっている証しとも言えるのです。
この出来事を通して、ザカリヤは口がきけなくなります。ただ神がなさろうとする圧倒的な恵みをあなたはただ黙ってみていなさい。そういう前むきな沈黙の期間を彼は5か月の間過ごすことになります。主は私たちにも語りかけられます。わたしがあなたにしようとしていることを黙ってみていなさい。
アドベントとは待つ期間です。恵み深い主の訪れを黙って待ち望むだけでいい。そして次に口が開かれるときには、嘆きではない、愚痴ではない、ただ主への賛美がほとばしり出ますように。